これは設計の基本中の基本。
学校でもまず教えられる建築計画導線について。
しかし、実務を重ねるうえで考えが変わりました。
「上階に動いている人が下階から見えれば、人は上の階にあがります」
これは大きな錯誤です。
上がりません。
動いている人影だけでは「他人を動機付け」はできません。
「動機付け」には、多種多様多彩そして、多くの情報が必要で、
こと建築導線では膨大な情報量を瞬時に処理できなければ、
利用者の導線は、空間をつながくことはできません。
つまり「人が動いている」情報だけでは全く足りないのです。
公共施設は、他の施設にくらべ感覚的に安全・安心が担保されやすいです。
つまり、設計意図とは別に「施設特有の情報」が最初からあるので、
他用途より上がりやすくなります。
では、他の施設ではどうでしょう。
例えばシティホテル。
上階は少しお高目なレストランが入っていたりします。
大多数の人がお気楽に上がれますか?
また、人が動いているのが見える「路地裏の雑居ビル」。
上がりたくなるような雰囲気ありますか?
つまり、公共施設は安心安全が前提かつ設計条件として計画するので、
利用者の「動機付け」のハードルが最初から下がっているのです。
設計者が意識していなくらい、当たり前の前提として。
そうすると、最初から下がっているハードルを意識せず計画されているので、
分かりにくく、使いずらい公共施設が増えます。
というか・・・
公共施設はそれこそ「分かりにくい窓口」の集積ですから、
動いている人が下から見えても、人は上の階にあがりません。
ですので、錯誤なのです。
では、人を動機付ける情報提供の工夫は、
一義的な設計計画に加え、
二義的な配慮が効果的で、訴求力の強化が必須です。
・サイン計画が楽しくかつ明確にデザイン
・分かりにくさを興味探求に転換した導線の連続 など、
利用者負担が、楽しく軽くなる範囲を吟味し、計画します。
さらっと書きましたが、それこそ空間を作り込むための
情報量の精査は莫大です。
しかし、サイン計画などは、設計の二義的なステージは
案外疎かにされがちです。
案外疎かにされがちです。
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