2020/12/10

動機

「上階に動いている人が下階から見えれば、人は上の階にあがります」

これは設計の基本中の基本。
学校でもまず教えられる建築計画導線について。

しかし、実務を重ねるうえで考えが変わりました。

「上階に動いている人が下階から見えれば、人は上の階にあがります」

これは大きな錯誤です。

上がりません。

動いている人影だけでは「他人を動機付け」はできません。

「動機付け」には、多種多様多彩そして、多くの情報が必要で、
こと建築導線では膨大な情報量を瞬時に処理できなければ、
利用者の導線は、空間をつながくことはできません。

つまり「人が動いている」情報だけでは全く足りないのです。

公共施設は、他の施設にくらべ感覚的に安全・安心が担保されやすいです。
つまり、設計意図とは別に「施設特有の情報」が最初からあるので、
他用途より上がりやすくなります。

では、他の施設ではどうでしょう。

例えばシティホテル。

上階は少しお高目なレストランが入っていたりします。
大多数の人がお気楽に上がれますか?

また、人が動いているのが見える「路地裏の雑居ビル」。
上がりたくなるような雰囲気ありますか?

つまり、公共施設は安心安全が前提かつ設計条件として計画するので、
利用者の「動機付け」のハードルが最初から下がっているのです。


設計者が意識していなくらい、当たり前の前提として。

そうすると、最初から下がっているハードルを意識せず計画されているので、
分かりにくく、使いずらい公共施設が増えます。

というか・・・
公共施設はそれこそ「分かりにくい窓口」の集積ですから、
動いている人が下から見えても、人は上の階にあがりません。
ですので、錯誤なのです。

では、人を動機付ける情報提供の工夫は、
一義的な設計計画に加え、
二義的な配慮が効果的で、訴求力の強化が必須です。

・サイン計画が楽しくかつ明確にデザイン
・分かりにくさを興味探求に転換した導線の連続 など、
利用者負担が、楽しく軽くなる範囲を吟味し、計画します。

さらっと書きましたが、それこそ空間を作り込むための
情報量の精査は莫大です。

しかし、サイン計画などは、設計の二義的なステージは
案外疎かにされがちです。


アトリエアイズWEB: www.a-iz.co.jp
住宅専門サイト:www.my-onlyhouse.com

2020/12/04

取材

 


先だって、某サイトの取材を受けました。 コノイエ:https://konoie.kaitai-guide.net/ あんしん解体業者認定協会と言う団体が運営する建築士事務所紹介サイトです。 その団体は、解体業の荒っぽいイメージ払拭、そのために業界の姿勢の改革、若手育成に力を入れているそうです。 勿論、事業としての進展展開も主軸、優良な設計事務所・工務店とのネットワーク拡大も活動の一環だそうです。 よくあるマッチング・サイトやコンペ・サイトには建築家が溢れている昨今、そもそもなぜウチに・・・という質問には そういった類のサイトからは選出しておらず、自分たちで設計事務所を検索・選出、その事務所の実例・姿勢・思想を鑑み、会議をかけて取材先を決めているそうです。

まぁそのお世辞に乗っかた訳ですが、確かに、コノイエを見てみると、既存のサイトで営業活動をして目立っている建築家さんはあまりいなさそう。 既存サイトは建築家さんが自ら登録しており、過去には私もそこでコンペに案を出したり営業をしましたが、登録者同士の折衝ですので、まま色々あります・・・。 取材でメディア掲載の問い合わせも確かにままありますが、大抵、云十万円の掲載費を徴収します。彼らも商売ですので当然なのですが・・・・

しかし、今回は費用の徴収はありませんでした。 無料な理由は、団体がこのための予算を組み、運営しているからだそうです。解体業が自分たちの業務発展の為、設計事務所・工務店とのネットワーク拡大は経済活動としてとても自然です。 一方的な営業でなく、双方WIN/WINとなる取組、我々建築業界には少なかったので少々驚きました・・・・ 残念ながら我々の業界は、情報は一方通行、業界の発展を唄いながら、個々人の手柄の取合いばかり・・・ 動機・活動がとても素直で熱心、しかも無料となれば、断る理由がないです(笑)。 自分のことをたっぷり聞かれて、沢山話しますので、自身これまでの振り返り・整理のいい機会にもなったりしました。 あ~表現すればよかったとか、違う物件の話もしればよかったとか、終わった後思いましたが・・・・ 一番の残念は、年相応にと思い、最近白髪染をやめていたのですが、写真だと、とれがどえらく目立つこと(笑)。 もう一回、そっちも振り返ってみないと・・・(;'∀')


アトリエアイズWEB: www.a-iz.co.jp
住宅専門サイト:www.my-onlyhouse.com