2010/08/20

建築学会と「美味しんぼ」の対決

日本を代表する漫画「美味しんぼ」。
グルメの範疇をこえ、とても社会派な内容で知られている。
私もよく読んでいる。

その「美味しんぼ」の社会派な問題提言先に、「日本建築学会」が挙げられているとの記事があった。

「日本の家屋で国産材の使用率が著しく低い一因は、日本建築学会が59年に木造建築を否定したため」
そして、その提言に対し建築学会の反論意見がHPに掲載されている
。 との内容。
>>建築学会サイトの意見

その回を読んで見ると、その通りとも思えるが、なにせ1959年では、私自身は学会がこのような見解を出していたことは、全く持って認識がない。

確かに、1級建築士試験では木造については殆ど触れられず、コンクリート造・鉄骨造の内容が大勢をしめる。
木造建築士や2級建築士があるからとの見方もあるが、業界大手中心の経済構造は、当たり前のように国家資格にも大きな影響があるように見て取れる。
経済活動自体は悪いことではないのだが、偏重には疑問を感じる。

阪神淡路の震災以来、木造の耐震性能は飛躍的に伸びた。
しかし、それまでの在来木造の全てを否定できるわけではない。
震災以前との、一番大きな違いは「数値による技術的裏づけ」が確立されていたか否かではないだろうか。
だから震災直後の「木造不安論」にも、経験値でしか反論できない弱さがあったように思える。

冒頭の建築学会の意見も、「伊勢湾台風被害に対して検証を重ねた結果」、
木造よりコンクリート造となっているようだ。
時代背景もあるだろうが、木造を現代時術で発展させることよりも、経済効果の高い方向へ切り替えようとする、経済偏重にあったことは感じ取れてしまう。

繰り返すが、経済活動自体は重要なことだ。ただ「偏重」であることに、疑問を感じる。
さすがの「美味しんぼ」。良い投げかけをしてくれたと、私は思う。




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